2022年13冊目 目の見えない私が「真っ白な世界」で見つけたこと 全盲の世界を超ポジティブに生きる 浅井純子著
この本の著者は30歳で中途失明した浅井純子さん。本を読んでいるとこの人にハンディキャップがあるの?、と思えるほど行動力がある人だ。
僕は障害を持つ場合一番怖いのが目が見えなくなること。何せ、人間の受け取る情報の半分以上は目から受け取る。見えなくなるということは外の世界がほとんどわからなくなることを意味するから。
浅井さんもはじめは見えなくなる恐怖や手術の痛み、入院生活の不便さ(喫煙者だったのでタバコが吸えないのがものすごいストレスだったらしい)で不満や愚痴がいっぱいだった。でも、ある日名前も知らない入院患者の女性から「あなたは手術が終われば病院から出られるのよ、私はここから出られない。もう10年も病院にいるの。」と言われて、自分にはまだ外に出て何でもやれる可能性があることに気づいた。それが今の前向きな姿勢のもとになっていると語っている。
〇執着心が不安を生み出す
これは僕自身にものすごく当てはまること。なくしたものにものすごいこだわってしまう。
浅井さんは30歳で全盲になった後、45歳で眼球も無くした。
それまでは「無くなったらどうしよう?」といつ葛藤や恐怖が心の中をぐるぐるしていた。
でもいざ無くしてみると、ずっと囚われていたような感覚だった「どうしよう?」という不安が無くなっていた。
浅井さんは本の中でこう語っている。
「そこで学んだことは、今あるものがずっとあるとは限らないということ。いつ無くなってもおかしくないということ。執着が不安を生み出すということ。全てに感謝を忘れないということ。もしなくなっても、感謝の気持ちで、なくなったことを認めるということでした。」
僕も8年前に大事なものをなくしていまだにそれに執着してしまっている。
そしていままた、自分の怠け心のために1つ大事な物を無くそうとしている。
だから万が一それを無くしてしまったらまずこれまでのご恩に感謝しよう。
執着を手放したら次の目標に向けて小さな一歩を踏み出そう。
〇安全を作る「つぶやき」の力
全盲の人にとってどんな形の手助けがいいのか?
浅井さんはこう語っている。
盲人が信号のある交差点で歩き出すとき、
「青になりましたよ」
とストレートに言われるより
「信号が青になったからいったん切るね、あとで掛けなおす。」
といった感じでさりげない独り言のようにつぶやくと交差点で動き出すちょうどよい合図になってありがたいとのこと。
健常者の立場からはストレートに言ったほうが良い思ってしまうが、障碍者の立場だからこそわかるこんなお話をしてもらえるとことらも少し手助けするときのハードルが下がってありがたいと思う。
まとめ
僕は今年ついに50歳になった。この年で結婚歴無し、職業は派遣労働者ゆえボーナスも退職金もない。「ない」をリストアップすればきりがない。
でも、あるものは「ある」。なんといっても僕には浅井さんが失った「視力」がある。曲がりなりにも五体満足な身体もある。もちろん年齢制限で正社員での転職など出来なくなったことは山ほどある。しかし、「ある」物に感謝して「できる」ことを精一杯やれば道は開くことができるのだ。9年前当時41歳の僕はどうしても航空宇宙産業に転職したくてJAXAつくば宇宙センターで「働かせてください」と直談判したりとにかく体当たりで就職活動をした。「飛行機に囲まれて生活していれば飛行機のご縁を引っ張りこめるかも」とペーパークラフトの飛行機を50機作っていた。その行動が当時お世話になった航空機検査員専門の派遣会社からお誘いを受けるご縁につながった。もちろん怠け癖や臆病風はすぐに治るものではない。これからも手ごわい敵として僕の前に立ちふさがることだろう。
その時こそ「ある」ものに感謝して前に進もう。そう思える一冊だった。
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